【感想】宮下萌さん講座#2023年U30第4回

★ふぇみ・ゼミU30申し込みはコチラから👇★
https://2023femizemiu30.peatix.com

ふぇみ・ゼミスタッフのTです。

9月13日に、ふぇみ・ゼミU30第四回が開催されました。「ネット上の差別を考える―法制度の観点から―」をテーマに、宮下萌さんにお話を伺いました。そもそもヘイトスピーチとは何かという基礎的なところから、ネット上の差別をなくすための各国の法整備の最前線までを取り上げるという、充実した内容でした。

いまの法制度の問題点はどこにあるのか

ヘイトスピーチとは、民族、国籍、社会的出身、性的指向といった、属性を理由とする言動による差別を指します。とりわけ問題となるのは、差別の煽動であり、表現による暴力や攻撃です。ヘイトスピーチは「言葉の暴力」であると同時に、物理的暴力も誘因するものです。偏見は差別へ、差別は暴力へ、そして暴力はいずれジェノサイドへと拡大してゆきます(いわゆる「憎悪のピラミッド」)。

人種差別撤廃条約は、いかなる個人も集団も人種差別をしてはならないと定めていて、日本もこの国際条約に加入しています。ただし、日本政府はこれを誠実に遵守しているとは到底言えないのが現状です。

それでもヘイトスピーチに関する法規制は日本国内にも全くないわけではなくて、2016年には「ヘイトスピーチ解消法」が施行されています。施行直後はヘイトデモが減少するなど、一定の効果はありました。しかしながら、この解消法は理念法であって、禁止条項がないうえに、ネット上のヘイトスピーチ対策に追いついていないといった様々な問題を抱えていました。(そして厄介なことに、ネット上のヘイトスピーチと、路上でのヘイトデモは地続きの現象です。)

被害者の救済に向けて

いま求められているのは、裁判手続きを経ずに、簡易かつ迅速に、低コストで、インターネット上の人権侵害に対処する法制度です。他国との比較で言えば、ドイツでは明らかに刑法上問題となるSNSでの書き込みがあった場合には、運営者は迅速に削除するなどの対応をしなければならず、これを怠ると罰金が課されることもあるそうです。

宮下さんの解説のなかでとても印象的だったのは、ヘイトスピーチの被害は「不平等」に起こるという指摘です。たしかに今日では誰もが、ネット上で誹謗中傷の被害に遭う可能性があります。とはいえ、「誰もが」といっても、被害に遭いやすい集団がいることに目を向けなければなりません。マイノリティは、そうでない人と比べて、被害に遭うことが格段に多く、またそのことは可視化されにくいのです。とある日本国内の調査によると、韓国・朝鮮系の出自の人は、差別的な記事や書き込みを見るのが嫌でインターネットの利用を控える人は四割にも上るそうです。これはその他の人と比べて倍以上の割合になります。私のようなマジョリティこそ、このような現実に目を背けてはならないと思いました。

ヘイトスピーチの被害者に話を聞くと、なるべく裁判手続きを用いずに、プロバイダが書き込みを削除したり、発信者情報を開示することを求めている人が多いそうです。ただ現状では、プロバイダ側に適切な対応をさせるための法制度が整っていません。被害者の救済という観点から、いま本当に必要な法律が何なのかを学べる講座となりました。

★ふぇみ・ゼミU30申し込みはコチラから👇★
https://2023femizemiu30.peatix.com

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。