【感想】松村元樹さん講座#2024年U30第3回 

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 ふぇみ・ゼミU30第3回の松村元樹さんによる「部落問題の基礎基本」という講座に参加させていただきました。この講座では題名の通り、部落問題の基礎として、部落問題が穢れに基づく身分制度を起源とし、解放令から水平社、同和対策事業特別措置法や部落差別解消推進法に至る運動や立法の歴史、また近年にも実際に差別を受けてきた人たちが抱える、生活環境の劣悪さや、教育の不平等による識字や計算ができないことに起因する生きづらさ、さらにはここ数年間に起きた差別事例や、身近な方々が姓の変更を強要された際の心情に至るまで、短い時間にもかかわらず多くのお話をしていただき、あまり明るくなかった私も、幅広い知識を身につけることができました。

 お話を聞いて、個人的に気になったことは、差別の構造が時間と共に変化しているということです。先述の通り、穢れに基づく差別をはじまりとして、江戸時代に身分が制度化、すなわち差別を生み出す社会構造が整備されたのち、明治に解放令が出されたものの、差別を払拭するための取組が全くなかったことで、身分から住んでいる場所を理由にした差別が維持され、その後も戸籍のみならず、過去に居住していた人やルーツのある人が差別を受けたり、不動産売買が避けられたりといった差別が今も残っているということでした。また、こういった差別に無自覚なマジョリティが差別を無化するようなマイクロアグレッションを発生させたり、ネットでおもしろおかしく部落を探索する動画を出したりといったことも近年問題になっているそうです。

 こうして身分から土地に住む人に、戸籍から居住歴に、土地そのものにと、対象をすり替えつつ維持されてきた差別が、1871年の太政官布告から150年以上経った今でも残り続けているということに、しぶとさ、爪痕の深さのようなものを感じました。実際、私が学生時代に関西に住んでいたときには「どこどこの土地は〜」といった発言を時折耳にすることがあったり、あるいは同年代の人たちがそもそも部落差別の存在を知らなかったり気付いていなかったりなど、身近にも根深く残っていることを感じます。良く言われる結婚拒否などの問題はそれが顕在化しただけで、やはり差別構造や差別意識は解消されることはなく、身近にずっと潜んでいると感じます。

 こういった差別に対抗するためには、思いやりとか優しさとか「寝た子を起こすな」とかではなく、きちんと構造を見つめ直して、差別の抑止・対処につながる有効な仕組みを打ち出していくべきだとおっしゃられていたのも印象的でした。特に部落問題は、日本特有の差別であるため、法務省など国が率先して対処すべきだと思いますし、また差別対象が見た目で判断できるといった明白さを持たず、長い間続いてきたことで対象がすり替えられてきたため、どういった行動が差別に当たるのかということが、講座に参加する前の私を含めて、多くの人々がはっきりとはわかっていないと思います。そうした知識の不十分さがないよう、そしてルールに従うことで差別をしないような仕組みを作ることが大事だと、部落問題のお話を聞いて改めて思いました。

ふぇみ・ゼミ受講生 木原健太

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