【感想】川端舞さん講座#2023年U30第5回

★ふぇみ・ゼミU30申し込みはコチラから👇★
https://2023femizemiu30.peatix.com/view

ふぇみ・ゼミスタッフの雁屋優です。10月4日に行われた、U30の第5回、川端舞さんによる、「インクルーシブ教育の権利―障害児として普通学級に通った私を肯定してくれたもの」の感想をお伝えします。

インクルーシブ教育をいいと思えないことも、あっていい

講師の川端舞さんは、脳性麻痺による言語障害と運動障害があり、インクルーシブ教育を推進するプロジェクトの代表をしておられます。このプロフィールを目にしたとき、私は複雑な思いを抱きました。

障害者権利条約に関して、国連から勧告も出され、インクルーシブ教育を進めるべきであることを前提として、実現のための議論が交わされる機会も増えました。ですが、生まれつきアルビノによる視覚障害を持ち、成人後にうつ病になってから発達障害に気づいた私自身が、障害当事者として、「インクルーシブ教育を進めるべきだ」と心から思えないでいました。

私は、マイノリティの権利が当たり前に尊重される社会の実現を目指して、文筆活動をしているのですが、小学校から高校までを一般校に通い、大学を卒業した過去を最善の方法ではないと捉えていました。「もっといい方法があったのではないか」「一緒に学ぶことが、そんなに大切なの?」と疑問は尽きませんでした。

もちろん、マイノリティのインクルージョンのために、インクルーシブ教育が必要なのは理解しています。でも、私は、あの日々には経験すべきでない苦痛があったと知っているのです。そのように、インクルーシブ教育に積極的に賛成できない私は否定されるのではないかと一人臆病になっていたのです。

しかし、講義のなかで、川端さんから「自分は普通学校で辛かったことが多く、障害児が普通学校に行くのがいいことだとは思えない」と考えた時期の話をお聞きし、私は安心しました。インクルーシブ教育という“よいこと”のために、私が過去に対して、「辛かった」「嫌だった」「他に何かいい方法はなかったのか」と思うのを禁じられるわけではないのです。

何がよくなかったのか、過去を捉え直していく

本講義は、川端さんの受けてきた教育の環境を、東京インクルーシブプロジェクトでの障害者権利条約の勉強会をきっかけに捉え直し、障害児がインクルーシブ教育を受ける権利を保障される大切さを語ったものでした。

インクルーシブ教育の大切さ、そして、ただ一緒にいる統合教育ではよくないこと、環境の変化で本人の感じ方も驚くほど変わることを教えていただきました。インクルーシブ教育にも課題は多いのは間違いありません。

それでも、社会をよくしていくために、私達は障害児にインクルーシブ教育の権利を保障する必要があります。私も、どのような形だったらよかったのか、障害者権利条約をもとに過去を分析して考察します。学校が排除の機構にならないために欠かせないことですから。

ふぇみ・ゼミのU30はリアルタイムでの参加も、録画による後から配信をご覧になることも可能です。お申し込みはこちらからお願いいたします。若い世代がのびのびと発言できる機会を確保するため、18歳以上30歳以下、もしくは30代のジェンダー初学者に受講を限定させていただいております。

年間10,000円以上をご寄付くださった方には、U30の講義内容を録画でお届けします。もしご興味があれば、寄付もご検討いただけますと幸いです。

この記事を書いた人

雁屋 優(かりや ゆう)

ライター/サイエンスコミュニケーター(2023年度北海道大学CoSTEP受講生)。

2015年に指定難病となったアルビノ(眼皮膚白皮症)当事者。

難病や希少疾患の人々の自己決定を支える情報が圧倒的に足りていないことに問題意識があり、現状を変えるべく文筆業をしている。

明石書店のwebマガジン、webあかしで「マイノリティの「つながらない権利」」、現代書館noteにて「マイノリティのハローワーク」連載中。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。