【第3回ふぇみ・ゼミ】スタッフ感想

ふぇみ・ゼミスタッフのKです。

7月13日(水)U30第3回では、講師に巣内尚子さんをお呼びし、「移民とジェンダー」というテーマで講義をしていただきました。巣内尚子さんは、現在、東京学芸大学特任講師で、ラバル大学大学院博士課程にて移民とジェンダーについて研究をされています。ご専門は社会学・国際社会学ということで、社会学から見た移民の問題、移民とジェンダーの問題のお話をお伺いすることができました。

講義はまず社会学の成り立ちの前提知識から始まりました。クロード・アンリ・ド・サン=シモンによって、神学的な形から実証的科学論という科学的なデータに基づくものに変化したこと、フランス人権宣言では広い定義の中でフランス市民を定義しながらも市民や国民の範疇に女性や子どもは入っていなかったこと、ドロシー・スミスによる男性中心の社会学に対する批判、インターセクショナリティなどさまざまな知識を教えていただきました。

私は、国際社会学という学問分野を初めて知りました。国際社会学は、ローカリティな視点を持った学問分野で、例えば移民の送り出し国を見るときはそこの地域がどういった歴史、政治体制、社会構造を持っているのかを丹念に見ていくことが重要だそうです。講義の後に行われた質疑応答では、実際に巣内さんからベトナムの背景から見えてくる移民の傾向についてのお話があり、考え方として興味深く感じました。

次に、日本社会と移民についても具体的なエピソードやデータとともに伺いました。移民送り出し国、移民受け入れ国どちらについてのエピソードも伺い、戦争花嫁など一つひとつのエピソードは知っていたものの、移民という言葉がとして認識できていなかったと気づきました。在留外国人のデータも見せていただきましたが、その中には、3カ国以下の短期滞在の人や在留資格を持たない人、帰化した人は含まれておらず、実証的科学だからこそ、ミスリーディング的になってしまうことの恐ろしさも感じました。在日韓国・朝鮮人のかたは戦後勝手に国籍を剥奪され、特別永住者という在留資格はあっても論争的な在留資格で議論していかなければならないのにも関わらず、日本政府の議論が足りていないことも学びました。私自身、統計学を学んでおり、ないデータに気づくこと、それを広く知らせることの難しさを感じました。卒業研究をしている中で、しばしば手法にこだわりすぎて目的を見失う瞬間があります。統計データの分析にだけ重きを押してしまって、実質的な姿が見えなくなってしまうのは恐ろしい話です。「かつて移民は男性だった」という状況から、女性の移民の増加により、近年移住の女性化が起こっていると言います。女性に課せられたジェンダー役割を果たすために移住先でも家事労働に従事していくことや、具体的エピソード、ベトナム人労働者によるストなど幅広く知りました。時給698円で、タイムカードを自分でつけられる環境ではないという搾取や、暴言や外出制限などの人権侵害が横行している現実に憤りを感じます。

私自身、ジェンダーについても初学者、移民についての前提知識が薄く、外国人技能実習生という言葉や日本の難民受け入れがとても少ないことを想起する程度でした。今回のお話はインプットする面が多く、自分で深く知ろうとできていなかったことを痛感しました。私はこれまでずっと日本に住んでいたため、日本という国自体を客観視する感覚が抜け落ちていると感じました。まずは、他国の背景を知り、その上でどうして日本に来るのか、ジェンダー的な観点からどういう影響を受けているのか、その人たちにとって日本とはどういう国に感じるのかを考えることによって、移民とジェンダーについて知る第一歩を踏み出していきたいです。

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