【講座感想】「移民女性と一緒に日本社会を変革する方法」(講師:稲葉奈々子さん)を受講して
以下の講座を受講した髙橋夏未さんの感想です
インターセクショナリティ講座ーー差別で織られた社会をほどく(全10回)
第2回 2026年4月19日(日)18:00~20:00 講師:稲葉奈々子さん
「移民女性と一緒に日本社会を変革する方法—インターセクショナリティを手がかりに考えてみませんか」
今回の講座では、移民女性が日本社会で経験する差別や抑圧、彼女たちがどのような声
をあげてきたのか、支援者やフェミニズムが抱える問題について学んだ。全体を通じて、
全ての女性が女性であるという理由だけで全く同じ均質な経験をするわけではないという
ことを強く意識した。例えば、エスニック・マイノリティ女性は性的に奔放であると捉え
られやすいためにハラスメントを受けやすい。レイプに遭った際は、被害者のエスニシテ
ィによって加害者の受刑年数が異なり、黒人女性が被害者の場合、その証言が信用されな
い傾向にある。移民女性のSRHRについては、妊娠が想定されたシステムになっていない
ために、妊娠して産みたいと言われても中絶したいと言われても支援者側はサポートがで
きず困ってしまう。これらの事例は、彼女たちが女性であり、移民であり、エスニック・
マイノリティであるからこそ起こりうるものだろう。ただ「同じ女性として共感できる
」「同じ女性として差別に反対する」と言うだけでは不十分だ。マイノリティ性が交差す
ることで生じる暴力を見落とさないためにインターセクショナリティの視点が重要である
と痛感した。

また、あらゆる場面で家父長制が非常に強固に存在することも大きな問題だと思った。
移民女性は、家族の中で妻や母としての役割を果たすことで在留資格が認められやすい。
そのため、家族であるがゆえに在留資格が認められる状況では、夫からDV被害を受けても
離婚を決断することが困難になってしまう。移民女性が暴力からなぜ逃れられないのかと
いうことは極めてインターセクショナルな問題だという稲葉さんの指摘が強く心に残った
。マイノリティ女性のことを考えて制度が作られていないために、制度があっても使えな
い場合が多いという現状も繰り返し紹介されていた。移民女性の声をきちんと聞き、日本
社会の構造の問題として私たちが移民女性と一緒に考えていかなければならない問題だと
思う。個々人が考え方を変えても制度自体が変わらないと家父長制は根本的には変わらな
いと指摘があったように、広い視野を持ち社会全体の問題として働きかけていかなければ
ならないと思った。

同時に、保護主義の問題も深刻だ。稲葉さんが調査してきたヨーロッパ地域では、移民
女性が声をあげることで制度が動くことはあったという。しかし、日本ではなかなかそう
ならないのはなぜだろうか。それは、権利を求める行為自体が在留資格の不安定化に繋が
る可能性があるためだ。そうした背景があるために、移民女性が声をあげて怒っても、支
援者の側がしばしば移民女性が声をあげることを止めようとするという。さらに、妊娠し
た移民女性が出産を希望した際、それは日本では無理だから出産したいなら出身国に帰る
しかないと諭す支援組織もあったそうだ。移民女性はずっと声をあげてきたのに、彼女た
ちがどうしたいのかその声を聞かず沈黙してきたのは、支援者だけでなくフェミニズムの
問題でもあるだろう。取りこぼしている声はないか、向き合うのが大変だからと無視して
はいないか。フェミニストとして、アクティビストとして筆者自身常に問い直さなければ
ならないと思った。
髙橋夏未

