★吉良智子さん「女性アーティストを『知らない』理由ー近代日本美術をジェンダーの視点からみる」全5回【ベーシック講座第6弾】申込はこちら★

https://b6fz2023.peatix.com/

ベーシック講座第6弾受講者の宮下萌です。

吉良智子さんを講師にお招きしているベーシック講座第6弾「女性アーティストを『知らない』理由ー近代日本美術をジェンダーの視点からみる」の第1回は「視覚表象をジェンダーの視点からみる方法」をテーマにお話頂きました。

第1回目はリンダ・ノックリンの「なぜ女性の大芸術家は現れないのか?」松尾和子訳『美術手帖』(1976年5月)というフェミニズム・ジェンダー美術史の代表的な論文をベースに、この問い(「なぜ女性の大芸術家は現れないのか?」)に対する結論に至るまでの過程を分かりやすく紐解いてお話頂きました。

 とりわけ興味深かったのは、西欧美術における絵画にはジャンルごとにヒエラルキーがあり、そのヒエラルキー構造によって女性アーティストを阻害する構造が存在していたという点です。絵画のヒエラルキーとは、歴史画、肖像画、風俗画、風景画、静物画の順に絵画の「価値」が序列化されていたという構造です。最上位とされる男性裸体を描くことが必要となる歴史画について、男性ヌードモデルを女性が目にすることは相応しくないとされていました。そのような社会的規範によって、女性はヒエラルキー上位とされる歴史画を描くことについて阻害され、下位とされていた他の絵画を描くしかなく、そのような構造によってアーティストとしての出世の道が絶たれていたのです。

このような構造をはじめとした、女性の進出をはばむ社会制度や教育制度のために、女性の大芸術家は現れなかったというノックリンの結論は非常に興味深かったです。しかしながら、1970年代に書かれたノックリンの論文について今日では批判的な意見もなされています。まず、①何をもって偉大(グレート)とするのか?という問です。これは、男性中心主義で「偉大」とされてきた価値体系そのものを根本的に問うべきではないかという批判です。また、②対象が白人中産階級の女性に限定されているというインターセクショナリティの点で問題があるという批判もなされています。

このようなノックリンの立てた問そのものに対する批判を紹介しつつ、最後に吉良さんは、日本の美術大学ではジェンダー・セクシャリティ教育が足りていないという現状についてもお話くださいました。社会のジェンダー規範が美術の業界にも反映され、それが担い手であるアーティストにも影響されてきたということを、未来のアーティストを排出する美術大学の皆さんにも是非知って頂きたいと感じました。

 私自身はアーティストではありませんが、美術展に行くことが趣味の一つです。そして美術展に行く度に「何故こんなにも女性アーティストは少ないのだろう・・・?」という「女性アーティストの少なさ」にモヤモヤを感じていました。アートに携わっている人もそうでない人も、この講座を聞けば、私たちが女性アーティストたちをほとんど「知らない」という状況がどう作られてきたのか、そして、数少ない女性アーティストたちは何を描き、何を考えてきたのか等を知ることができます。そして、そのような状況を変えるために何が必要であるのかについて一緒に考える貴重な機会になるはずです。

こちらの講座は全回ハイブリッド開催、後から配信もありますので、ぜひお申し込みください。

★吉良智子さん「女性アーティストを『知らない』理由ー近代日本美術をジェンダーの視点からみる」全5回【ベーシック講座第6弾】申込はこちら★

https://b6fz2023.peatix.com/

第1回 2023年11月13日(月)19:00‐21:00 「視覚表象をジェンダーの視点からみる方法」

第2回 2023年11月20日(月)19:00‐21:00 「女性アーティストたちの自画像」

第3回 2023年11月27日(月)19:00‐21:00 「女性アーティストへの批評」

第4回 2023年12月4日(月)19:00‐21:00 「女性アーティストにとっての『戦争』」

第5回 2023年12月11日(月)19:00‐21:00 「『ジェンダー論争』とは何だったのか」

次回は第3回の講座は11月27日開催です。「女性アーティストへの批評」をテーマに引き続き吉良さんにお話頂きます。

ぜひとも奮ってご参加ください。

【この記事を書いた人】

宮下萌(みやした もえ)

弁護士。著書に『テクノロジーと差別 ネットヘイトから「AIによる差別」まで』(編著、解放出版社、2022年)、『AIプロファイリングの法律問題 AI時代の個人情報・プライバシー』(共著、商事法務、2023年)、『レイシャル・プロファイリング 警察による人種差別を問う』(編著、大月書店、2023年)等。

専門はインターネット上のヘイトスピーチ、テクノロジーと差別、レイシャル・プロファイリング等。

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