【感想】労働を問い直すージェンダーと民主主義の視点から 第3回「障害者自立生活運動とケア労働」スタッフ感想

こんにちは、ふぇみ・ゼミでUDトークを使ったリアルタイム字幕校正を担当しているスタッフの雁屋優です。

ジェンダーと民主主義の視点から労働を問い直す連続講座の第3回、渡邉琢さんの「障害者自立生活運動とケア労働」の感想をお伝えします。

私自身も障害者ではありますが、一人暮らしをするのに特別なことは何もしなくてよかったため、障害者の自立生活やケア労働は「知ってはいるが、実感が今ひとつない」言葉です。近くにあるようで、実は、この2つの言葉は相反するものを抱えているのです。

障害者自立生活運動とケア労働の衝突、葛藤

日本自立生活センター(JCIL)で介助者と介助のコーディネーターをしている渡邉琢さんは、障害当事者の運動と労働運動は時折衝突してきたといいます。

労働運動では主に、長時間労働や安い賃金はなくすべきものとして扱われます。しかし、障害当事者が施設への隔離政策に抵抗した当時、無償のケア労働に頼るほかなかった現実もあります。介護サービスもなかった時代のことです。

また、障害者入所施設のなかでは、労働者でもある介助者が、労働しやすいように障害者の生活を管理する側面も強くありました。労働者からすれば、賃金が安いのにきつい仕事は当然嫌です。労働者の権利を守ろうとすれば、障害者が抑圧されていく。こうした衝突が、さまざまな形で起こりました。

障害当事者の側もこのような状況をよしとしていたわけではありません。介助者の待遇向上を訴える当事者団体もありました。

「障害者自立生活運動」を多面的に見る

障害者、特に重度障害者を親元や施設に押しこめるのは、家父長制です。ジェンダーの視点から、障害者自立生活運動とケア労働を考えていく必要があります。

また、時代が変わってくるにつれ、新たな問題も出てきています。障害者の自立生活はどのように保障されていくべきなのか、一緒に考えていくことのできる講座でした。

障害者自立生活運動の抱える複雑さは大変さでもありますが、人が生きるとはどういうことかを問い直す大切な営みだと感じました。障害者の自立生活が当たり前に保障される社会であれば、安心して暮らせるのではないかと思いました。

こちらの講座は後から配信もありますので、ぜひこちらからお申し込みください。

気になる回だけの受講も、全回通しての受講も可能です。

「労働を問い直す」シリーズの第4回は、遠山日出也さんによる「中国のセックスワーカー運動とフェミニズム」を10月20日に予定しています。中国におけるセックスワーカーの人々の運動とフェミニズムの関わりについて、お話しいただきます。

セックスワークについての言論は、複雑に入り組んでおり、差別的な言説も多くあり、また極端な立場を取る人も少なくありません。中国の状況は日本とは違っていますが、セックスワークとフェミニズムを考えるのに参考になることでしょう。

ご参加、お待ちしています。

この記事を書いた人

雁屋 優(かりや ゆう)

ライター/サイエンスコミュニケーター(2023年度北海道大学CoSTEP受講生)。

2015年に指定難病となったアルビノ(眼皮膚白皮症)当事者。

難病や希少疾患の人々の自己決定を支える情報が圧倒的に足りていないことに問題意識があり、現状を変えるべく文筆業をしている。

明石書店のwebマガジン、webあかしで「マイノリティの「つながらない権利」」、現代書館noteにて「マイノリティのハローワーク」連載中。

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