【感想】片山夏紀さん講座#2025年U30第2回
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ふぇみ・ゼミU30受講生の木原と申します。U30第2回講座は、片山夏紀さんによる「ルワンダジェノサイド後の農村社会の差別構造を考える」というテーマでした。
この講座では、ルワンダのジェノサイドが起こった社会的背景や、その後ジェノサイド犯罪を犯した一般市民を裁くガチャチャ裁判について、片山さんが行ったフィールドワークをもとにお話いただきました。

ベルギーが間接統治に利用したトゥチ・フトゥといった身分が温存され、ジェノサイドに至りました。ジェノサイドではフトゥの急進派勢力により、主にトゥチが殺されましたが、これを庇ったフトゥなども殺されていることや、現政権のRPFの殺害は裁かれていないことも知りました。その後、RPF主導でジェノサイドに加担した一般市民を、法律資格を持たない近隣の一般市民が裁く、ガチャチャ裁判が行われました。裁判後も多くの被害者と加害者とは近くに住み続けています。
またフィールドワークのお話では、片山さんがルワンダの農村に住み込んで聞き取り調査された、当事者の和解にまつわる心境などの話に加えて、農村社会や政治の場に残る女性や加害者家族への差別の話も伺いました。あいまあいまに農村の生活や調査の苦労話などもあり、非常に面白かったです。
個人的に印象に残った箇所は、ガチャチャ裁判の記録と、和解についてでした。
ガチャチャ裁判では地域住民が情報収集を担いましたが、バナナの木やスプーンの本数に至るまで丁寧に調べ上げられ、裁判記録には事細かに被害の実態が記録されていたそうです。
またジェノサイドの賠償はルワンダ政府によってではなく、ガチャチャで裁かれた加害者個人に請求されました。加害者は複数の犯罪に関与したため、多くの場合、賠償は支払われていないそうです。その上で被害者や加害者たちは「一緒にバナナビールを飲むこと」「結婚式に招待しあうこと」という行為を和解と捉えている方が多いとのことでした。
これは、犯罪を認め、その行為がどれだけの被害を与えたかを評価し、その行為に対して謝罪と償いを求めるというプロセスを、さらに、その後も続く生活上で、被害者や加害者が穏やかな人間関係を築いていく和解への道のりを、法律資格を持たない一般市民たちが参加して地域ぐるみで取り組んでいるという意味で、参考になると感じました。
また、一般市民たちが、同じ村で暮らしていたはずのトゥチになぜ加害を行ったかということを気になって聞き取り調査を行ったという話では、当時の政府が用意周到に軍事訓練を施した民兵たちによって、一般市民たちは自分自身や家族を殺すと脅され、極限状態のなかで虐殺に加担していったという点も印象に残りました。
もちろん、ガチャチャ裁判やその和解の過程にも問題はあります。政府が賠償を行わず、都合の良い形でガチャチャ裁判が利用されてしまっていることや、被害者が加害者と同じ地域で暮らし続けるにあたって、周囲からの心象を気にして、経済的に非常に困窮した加害者とその家族に支払い不可能な額を請求することを諦めてしまうなど、枚挙に暇がありません。しかし、そもそも分断を煽り対立を作ってきた側の政府は何も賠償をせず、脅されて賠償するお金もない一般市民の加害者たちに対して、被害者や地域社会はふたたび分断に陥ることなく、和解のために日常的な行為を共に継続していくための努力を惜しまないという姿勢は、見習うべきところがあると感じました。
ふぇみ・ゼミU30ゼミ生 木原 健太

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