「ソ連以後を闘う女性たち ~政治という暴力がもたらすもの」スタッフ感想

ふぇみ・ゼミスタッフの飯田光穂です。

高柳聡子さんの「ソ連以後を闘う女性たち ~政治という暴力がもたらすもの」、第1回は「ロシア 私生活を脅かす法の暴力」でした。講義を受ける前の私にとってロシアは、日本と北方領土の問題がある国、プーチンの独裁で今年からウクライナに軍事侵攻している国、という印象しかありませんでした。かといってウクライナのやり方が良いとも思えないし、と心の中で言い訳をして考えることを放棄していたような気もします。

しかし冒頭で高柳さんが「ロシアの抱える問題は日本に身近だから、日本のフェミニストに役立つと思う」と言ったことでぐっと興味を惹かれました。考えてみれば閣議決定だけで安倍元首相の国葬が決まり、最近は自民党と公明党の与党だけで敵基地攻撃能力保有に合意し、日本も独裁されている実感があります。

ロシアは

2013年いわゆる「同性愛プロパガンダ禁止法」
2017年家庭内暴力の非犯罪化
2022年ウクライナへの軍事侵攻

このように、段階的に個人の生活を管理し戦争へと至ったそうです。

2013年に制定された「同性愛プロパガンダ禁止法」は、与党が圧倒的に強いことにより、対象の拡大と厳罰化が2022年中に可決する見通し、とのことでした。対象の拡大により、性的少数者の表象のみならず「子供がいない家族が幸せそうにしている表象」も許されないそうです。日本の同性婚訴訟で大阪地裁が、婚姻の目的を生殖のみだと判示したことを想起させられました。

2017年家庭内暴力の非犯罪化は、与党議員のエレーナ・ミズーリナという女性議員が家庭内暴力を刑法から外すように提案したそうです。

私はエレーナ議員に興味を持ってしまい、横道にそれて高柳さんの動画を一時停止し「エレーナ・ミズーリナ」で検索してみました。するとエレーナ議員による「プーチン氏の精子をロシア全土の女性に郵送して健康な子供を妊娠させましょう」など、トンデモ発言が出てきました。男性議員が言いにくいことを女性の立場から言うことで重用される女性議員、日本でも既視感があります。

現在戦争中という厳しい状況に置かれていても、ロシアのフェミニストはかばんにメッセージを書いた紙を貼って公共交通機関に乗る「静かなピケ」運動を実践しています。これらはコロナ禍でマスクを着用することにより顔バレ・身バレしにくくなり活発化したとのこと。私もコロナ禍でマスクが当たり前になってから、デモに参加しても撮影されるのが怖くなくなりました。「静かなピケ」は日本でも取り入れられると思います。

 

ロシアのフェミニストによる「静かなピケ」運動(写真提供:高柳聡子さん)

「ロシアの勇気あるフェミニストたちの立派な話を聞かせてもらった!尊敬します!!」という感想で終わらせることは簡単です。しかしロシアでは阻止できなかった戦争への道のりを日本では阻止することができたら、この講義でロシアのフェミニストから本当に学んだと言えるのではないでしょうか。

どこの国でも、フェミニストが恵まれた環境にいることはきっとない。だからこそお互いの実践を発信し、反響しあって進んでいく、世界のフェミニストの一員でありたいと思います。また、第2回以降でとりあげられる旧ソ連各国のフェミニストの実践も吸収していきたいです。

講座は全5回ですが、申し込むと今からでも第1回の録画視聴が可能です。

お申し込みはこちら

一緒にふぇみ・ゼミを学ぶ人が増えることで、日本でのアクションへのハードルも少しずつ低くなると思います。

講座の詳細はこちらをご覧ください。




この記事を書いた人

飯田 光穂(いいだ みほ)

株式会社Backrest代表。
産業保健師/産業カウンセラー、脳腫瘍・病後うつサバイバーで、レズビアンのフェミニスト。
企業のストレスチェックや外部相談窓口のほか、ジェンダー・労働・心身の健康に関する記事の企画・編集・執筆をしています。
WEBメディアNOISIEの編集長です。Twitterはこちら:飯田光穂NOISIE

  

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