【第7回ふぇみ・ゼミ】スタッフ感想

ふぇみ・ゼミスタッフのRです。

12月7日(水)第7回U30の講師は社会運動史、沖縄現代史、社会学がご専門の上原こずえさんに登壇していただきました。テーマは「一九七〇~八〇年代の沖縄の闘争と再生産労働をめぐる問い」でした。しばしば米軍基地の問題は耳にしますが、なぜ沖縄に米軍基地が集中しているのか、市民による運動はいつからどのように行われてきたのかを解説していただいた貴重な機会でした。

冒頭の上原さんが沖縄米軍基地問題と出会った時の話を通じて、地域住民が背負わされる日常的負担や安全上の問題が浮かび上がってきました。その後、金武湾石油基地反対運動の事例から、多様な運動が展開されていたこと、運動内の性別役割分業の話とともに、多くは女性たちが担ってきた炊き出しなどの「食」に関わる活動が、開発や囲い込みの問題を考える際の重要な視点であることを知りました。例えば、本業としてではなく海産物をとって生計を立てていた女性たちは、埋め立てによる補償の対象とはならないことなどが挙げられます。

講座の中では、女性たちの琉歌を通した運動、「イモの会」という女性たちが集う共同農場など様々な活動が紹介されました。沖縄の社会運動をジェンダー、日本の植民地主義という視点からさまざまな問題提起がありました。戦時中に亡くなった人々の遺骨が未だ眠る土地の上に建てられる基地。兵士の自殺。生態系の破壊。このように多くの死の上に米軍基地があると上原さんは語っていました。

上原さんが向き合ってこられた問いもまた印象的でした。問いは、「女性たちが担わされてきた再生産労働の問題と、同時に女性たちが尽力してきた食事のあり方を問うことこそが開発に反対することにつながるということをいかに同時に語ることができるのか。」であり、マルクス主義フェミニズムの問題提起だけでなく、土地や環境と結びつけ、軍事主義に対抗する実践としての視点も欠かす事のできない問いだと私は感じました。エコフェミニズムについても触れられていましたが、環境問題もフェミニズムの視点がなければさまざまな問題を見落としてしまうことがこれまで指摘されてきました。私は、エコフェミニズムについて全然知らなかったのですが、もっと知りたいとお思いました。

今回は短い時間の中でたくさんの文献、写真、映像資料が盛り込まれ、本土が沖縄に押し付け続ける負担と、そうした構造について私はどのように向き合えばいいのかということを考えるきっかけとなりました。

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