【感想】げいまきまきさん講座#2023年U30第3回

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　記事を読んだ。京都市立芸術大学が運営する＠KCUAおいて提案された「デリバリーヘルスを会場に呼ぶ」という企画。記事には、その企画に対する怒りと対話を求める文章が書き連ねてあった。
この文章を読んで、私はゾッとした。この企画にではない。私自身もこの企画を楽しむ観客になり得ていたかもしれないという可能性にゾッとしたのである。
　昔から「風俗嬢」に興味があった。JINで花魁の野風を見た後は、YouTubeで「花魁」と検索して、籠の中に入れられた遊女たちの写真を見ていたし、ウシジマくんで風俗嬢が出てきた時は、その美しさの裏側にある危うさや腹黒さに禁忌のような魅力を感じていた。だからこの出来事を知った時、もしこのような展覧会に私が出くわしていたとしたら、目の前で怯えすくむ風俗嬢の姿にセンセーショナルな胸の高鳴りを覚える匿名的な一人の観客になってしまっていたのではないかと私は自分自身に恐怖心を感じたのだ。
　今回の講義で出てきた「セックスワーク」という言葉は、まさに私のような人間に一石を投じる。風俗嬢だって、ピザ屋の店員と、塾講師と、サラリーマンと何ら変わりない労働者ですよと言っているのだから。
　実際に風俗嬢のようなセックスワーカーが禁忌な・他の労働者とは違う存在として語られることで、そこで働いている人たちに暴力が生まれていることは事実である。例えば、ソープランドは給仕の女性と客の男性が自由恋愛をするという名目で性交のサービスを提供しているが、ソープ嬢の方はグレーゾーンで仕事をしているために、肉体的・精神的に苦痛を与えられたとしても、法に助けを求めることはできない。
　また労働組合が存在しないことで、適正価格が存在せず、セックスワーカーたちが自分の体を安く売らなければならないという状況も考えられる。以前36歳の従兄弟が私にこう言ってきた。「大久保公園行こうかと思ってるんだよ。あそこ、若くて綺麗な立ちんぼが一万円くらいで買えるからな。安いだろ。」この発言は私にとって異様に響いた。もちろん、彼女たちは「商売人」として交渉を重ね、自分の肉体の値段を決める。しかし、若い女性が年上の男性を前に圧力を感じ、自分の体を安く売ってしまうことはあるのではないだろうか。これは売る側の女性が悪いわけでも、買う側の男性が悪いわけでもない。ただひとえに、彼女たちの仕事を認知しようとしない制度が悪いのだと私は思う。
　社会がセックスワークを制度的に認めることで、逆説的にワーカーへの偏見や搾取を減らすことにつながる。セックスワークを合法化しているオランダでは、最低年齢を定め、ライセンス制にするなどして、ワーカーたちが安全に働ける環境を整えている。また、搾取や強制に対しても厳格な罰則を設けているという。私たちの後ろには法律があるのだという自信は、セックスワーカーにとってどれだけの安心を安全をもたらすことだろうか。セックスワークは、今に始まったビジネスではない。何百年も前から続いているのだ。そこには需要があり、需要があるところにはいつも供給がある。それをふしだらだという主観的な理由で「浄化」しようとするのではなく、認めることで「改善」していく。そういう社会を私は支持していきたい。

ふぇみ・ゼミ受講生　佐藤駿多

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