【感想】葛西リサさん講座#2025年U30第1回
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ふぇみ・ゼミU30の受講生の木原と申します。第1回講座では「居住貧困の女性化を考える」というテーマで、葛西リサさんにお話いただきました。
この講座では、戦後の日本が既婚・正規雇用・子供がいるという「標準的な家族」をターゲットに持家政策を推し進め、そのまま硬直化した結果、世帯が多様化した今の社会にそぐわない制度となったことを学びました。公営住宅の少なさから、持家を持たない人々は民間賃貸住宅に済むことを余儀なくされていますが、単身者・非正規雇用・高齢者・セクシャルマイノリティ・シングルマザーなど様々な人が金銭的な問題を抱えていたり、家を借りれないという差別を受けたり、住宅確保に問題を抱えています。さらに、住宅が確保できたとしても、その後のケアにも問題があります。DVで子供と家を出ても、子供のケアのために仕事を休まねばならず、家賃が家計を圧迫することで、シングルマザーは民間賃貸住宅に住み続けることに大変な苦労を伴います。
これらの問題を解決する可能性として、困っている人たちのお互いのニーズをマッチングするという民間の取り組みが紹介されました。大阪の「ぐるぐるそだつながや」は、空き家とシングルマザー向けシェアハウスとコミュニティスペースとをマッチングさせることで、安価で住宅を提供しつつ、地域の人と人とが繋がり、子どもの見守りも行うようになったという事例です。非常によく考えられた仕組みで、興味深いと感じました。ただし、この取り組みはどこでも簡単に再現できるものではなく、やはり民間だけでなく行政による住宅政策も必要だと考えます。
講座のなかで、葛西さんの「住まいは人権」「切れ目のない支援」「安くて、安定して、気を使わないケア」という言葉たちが、私の印象に強く残りました。住まいがなければ生活を成り立たせることができないため、本来であれば人に合わせて住宅政策も住まいも変わるべきです。しかし現実では離婚成立前後や年齢などのセクションによって、居住に困っているのに支援が受けられないケースが発生しています。このような途切れ途切れの支援ではなく、安定して住み続けることができ、なおかつ金銭も精神も負担がない住まいとケアの仕組みを、包括的かつ柔軟に考えていくことが重要だと感じました。
そのような柔軟な仕組みを達成するためには、まずひとりひとりの居住に対する悩みを詳しく理解することが必要です。そしてさらに様々な背景を持つ人々のニーズをマッチさせたり、葛西さんのように母子家庭と住宅政策という新たな研究領域を切り拓くような、広い視点でのインターセクショナルな取り組みを行っていくことが大事だと改めて実感しました。葛西さん、この度は大変貴重なお話をありがとうございました。
ふぇみ・ゼミU30ゼミ生 木原 健太
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