ふぇみ・ゼミ&カフェは東京に事務所を置く、インターセクショナル・フェミニズム運動のNGOです。主としてインターセクショナル・フェミニズムをテーマとしたアートや演劇、映画やカフェイベントを企画・開催するゆる・ふぇみカフェ(2014年設立)と、講座・研究・調査・出版・アドボカシー活動を担うふぇみ・ゼミ(2017年設立)の二つの団体が共同で、現在のふぇみ・ゼミ&カフェを立ちあげました。2022年に一般社団法人として登記しています。
ふぇみ・ゼミ&カフェのミッション
1.インターセクショナルな視点でフェミニズムを刷新する
階級、民族、被差別部落、障害、人種など、これまでのフェミニズムが軽視してきた視点を積極的に取り入れ、日本の帝国主義や天皇制に反対する立場から、ポストコロニアルな歴史や侵略戦争によって形成された不平等な社会構造に注目し、インターセクショナル・フェミニズムを創造する。
2.若い世代のための運動の場をつくる
若者が自らの視点を広げ、社会の多様な課題に主体的に取り組む力を培うため、反差別運動の経験に基づいたジェンダー教育や研究を進め、若者が平等で自由に参加できる活動の場を提供する。
3. フェミニズムを学ぶ場を広げる
これまでフェミニズムを学ぶ機会がなかった人々が、年齢を問わず、フェミニズム運動に触れ、学ぶための開かれた場を提供する。地理的制約や移動の制約、ケア労働の負担などによる時間的制約がある人々にもアクセスしやすい形で機会や情報を提供し、社会運動への参加機会をさらに広げる。
4. 差別のない社会を実現するため、幅広いアプローチで社会運動を展開する
教育、研究、調査、提言、芸術文化、出版、物品販売、講座・イベント開催などの多様な活動を通じて、差別のない社会を目指す。これにより、従来の社会運動の枠組みを広げ、多くの人々が様々な形で参加できる場を提供する。
5. 差別のない社会を実現するため、アクティビストを育成する
社会運動を通じて、差別のない社会を目指して積極的に活動し、社会変革を促すアクティビストを育成する。また、異なる社会的背景や抑圧経験を考慮し、それらに基づいた知見を共有し、広い視点から社会問題に取り組む力を培い、持続可能な運動の発展を支援する。
これらのミッションを達成するため、ふぇみ・ゼミ&カフェは以下の取り組みを行います。
無償労働と参加無料の活動をなくす
フェミニズムは、家庭内での無報酬労働に長らく反対してきたが、無償労働は社会運動においても生じている。誰もが労働に対して公正な報酬を受ける権利を持つという考えに基づけば、無償労働は運動に関わる人々に不公平な負担を強いていることになる。また、参加費無料で行われる活動は、一見参加者の経済状況に配慮しているように見えるかもしれないが、長期的には運動の収入源を失わせて運動の継続に必要な資金調達を困難にし、その結果、運動の持続可能性と独立性が損なわれる要因になっている。こうした問題を解決するため、ふぇみ・ゼミ&カフェは適切な報酬を提供し、過度な経済的負担を強いられることなく、誰もが活動に参加できる仕組みを作り出す。
また、無料で提供される講座やイベントでは、費用の制約や責任の所在が不明確であることから、内容や運営の質が十分に確保されないケースが少なくない。社会運動が社会を変えていくためには、現状を批判するだけでなく、新たな視点を生み出し、それを広く共有する場を作り出していくことが肝要であり、それには相応の労力とコストが求められる。内容や運講座の経費をチケット代だけで賄うことは、多くの場合難しく、ふぇみ・ゼミ&カフェも運営委員のボランティア労働や助成金、寄付金などに頼らざるを得ない状況にある。しかし、その経費をどう賄うかを考えることも社会運動の課題である。ふぇみ・ゼミ&カフェは講座運営にかかる当然の経費の一部を参加者に負担してもらうために参加費を設定しており、これが持続的な社会運動を実現するために不可欠だと考えている。
保護主義に反対する
女性、若者、エスニック・マイノリティ、性的マイノリティ、障害者、性暴力を含む様々な暴力や差別の被害者など、「弱者」と見なされがちな人たちは、みな自らの力で立ち上がり行動する力を持っている。保護という名目で、その主体性と自主性を奪ってはならない。フェミニズムの中に保護主義を持ち込むことは、運動内での一方的な権力構造を生み、パターナリズムを助長する。ふぇみ・ゼミ&カフェは、こうした保護主義に強く反対する。
積極的なアドボカシーを行う
異なる意見を持つ人々や、社会運動に関わる機会がこれまで少なかった人々にも積極的にアドボカシーを行い、広報活動を通じて社会教育を推進する。このために、自前の研究・運営組織やメディアを育成し、持続可能な運動基盤を築く。
「標準」や「常識」を問い直し、新たな基準を作り出す
従来の「標準」や「常識」が特定の人々を排除する要因となっていることを認識し、多様な背景やニーズに応じた新たな基準を社会に根付かせる。その一例として、ふぇみ・ゼミ&カフェでは、すべての講座に字幕をつけるなど、アクセシビリティの向上に取り組んでいる。「いつも字幕がある講座」という新しい「常識」を作ることで、誰もが平等に参加できる社会運動の場を実現し、運動の独立性と持続可能性を強化する。