
ふぇみ・ゼミ&カフェが開催した連続講座を元に、新たな執筆者も迎えて『インターセクショナリティで語る植民地支配と侵略戦争』(あけび書房、2025)を出版しました。日本敗戦・植民地解放から80年を迎える今年、植民地支配・侵略戦争で起きたことは、決して過去にはならず、新たな差別と不正義の火種となり、現在の社会を形作っています。
他方で本書「はじめに」にあるように、世界では旧植民地・難民経験及び出身者を家族に持つ世代が、インターセクショナルな視点で戦争責任・植民地支配研究及びその認識を社会に広げるための社会運動が登場し、 新たな広がりを見せています。日本でも加害国としての責任を達する視点を前提にしながらも、豊かな研究・運動の姿を構築しなくてはなりません。
『インターセクショナリティで語る植民地支配と侵略戦争』という本をそのためのツールとすべく、多彩なゲストと語りたいと思います。歴史を否定するデマとの闘いに縮こまることなく、植民地支配責任・戦争責任を差別と闘う新しい社会を構想するためのベースにしていきましょう。
主催: 一般社団法人ふぇみ・ゼミ&カフェ
共催:あけび書房、インターセクショナルフェミニズム研究会、市民社会フォーラム、日本学術会議振興会科研費基盤研究(C)「東アジアの民主化運動とフェミニズムに関する比較実証研究」(研究課題23K01782)、日本学術会議振興会科研費基盤研究(C)「戦後沖縄をめぐる「忘れられた連帯の記憶」:教育、ジェンダー、戦争体験の視点から」(研究課題24K05300)
シンポジウム&ブックトークお申し込み/書籍購入先

◆Part1◆
8月13日(水)19:00~21:00 ブックトーク
ドイツ研究者が読む『インターセクショナリティで語る植民地支配と侵略戦争』
小野寺拓也さん(東京外国語大学)

〈プロフィール〉
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。博士(文学)。専門はドイツ現代史。著書に、『野戦郵便から読み解く「ふつうのドイツ兵」』(山川出版社、2022年)、『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波書店、2023年、田野大輔との共著)など。
◆Part2◆
9月23日(火)14:00~17:30 シンポジウム
※会場・北とぴあ(東京・王子)とオンライン配信併用
※シンポジウムの各発表概要と登壇者プロフィールはレイアウトの都合上Part3の後ろに記載
第一部 〈発表者/発表内容〉
朴金優綺さん 「裴奉奇さんの願いと〈日本軍性奴隷制の否定を許さない4.23アクション〉」
佐喜真彩さん 「記憶が交差する場所――沖縄フェミニズムと「慰安婦」の記憶が出会うとき」
戸邉秀明さん 「『遺された者』の歴史学:聞こえてきた声に振り向いたあとで」
第二部 ふぇみ・ゼミU30受講経験者によるパネルディスカッション
●パネリスト
遠藤純一郎さん(ほうせんか100周年追悼式実行委員会「百年」メンバー)
木原健太さん(会社員)
高橋夏未さん(一橋大学大学院社会学研究科修士課程)
●ディスカッション進行
飯野由里子さん(ふぇみ・ゼミ&カフェ、フェミニズム研究)
〈司会〉
梁・永山聡子さん(ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、成城大学グローカルセンター)
〈趣旨説明〉
熱田敬子さん(ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、ジェンダー/社会学研究者、山西省・明らかにする会事務局)
◆Part3◆
10月14日(火)19:00~21:00 ブックトーク
台湾研究者が読む『インターセクショナリティで語る植民地支配と侵略戦争』
三澤真美恵さん(大学教員)

〈プロフィール〉
専門は台湾史と華語圏映画。大学卒業後、出版社勤務を経て華語圏映画への関心から1990年代半ばに台湾に留学。民主化が急速に進む様子を目の当たりにし、熱気あふれる台湾史研究の扉を叩く。
単著に『殖民地下的銀幕――台灣総督府電影政策之研究1895―1942年』(前衛出版社、2001年)、『「帝国」と「祖国」のはざま――植民地期台湾映画人の交渉と越境』(岩波書店、2010年)など。編著に『植民地期台湾の映画ーー発見されたプロパガンダ・フィルムの研究』(東京大学出版会、2017年)、共編著に『華語圏入門––中国・香港・台湾+への扉』(岩波書店、2025年7月末刊行予定) など、分担執筆に『台湾の歴史大全 基礎から研究へのレファレンス』(藤原書店、2025年)、Une histoire globale des révolutions, Paris: La Découverte, 2023などがある。
◆9月23日 シンポジウム 発表者・パネリスト紹介◆
◇「裴奉奇さんの願いと〈日本軍性奴隷制の否定を許さない4.23アクション〉」
朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会事務局員)

〈概要〉
在日本朝鮮人人権協会性差別撤廃部会の事務局として、日本軍性奴隷制の歴史を否定する動きに反対し、日本軍性奴隷制問題と朝鮮半島の分断の克服を目指す〈日本軍性奴隷制の否定を許さない4.23アクション〉を仲間たちと一緒に10年にわたり開催してきました。4.23アクションを始めるきっかけとなった裴奉奇(ぺ・ぽんぎ)さん・金賢玉(きむ・ひょのっ)さんとの出会い、日本軍性奴隷制問題をめぐる昨今の状況を踏まえた4.23アクションの内容と意義などについてお話する予定です。
〈プロフィール〉
在日本朝鮮人人権協会事務局員、朝鮮大学校講師、歌手。〈日本軍性奴隷制問題の否定を許さない4.23アクション〉、在日朝鮮人女性の交流会、在日朝鮮人性的マイノリティの交流会などを同協会性差別撤廃部会の事務局として開催。各地の朝鮮学校で人権教育/包括的性教育も実施。編著に『4.23アクション映画祭~日本軍性奴隷制サバイバーと出会う~記録集』『内なる壁を突き破る~在日コリアン女性のハラスメント事例集~』など。
◇「記憶が交差する場所――沖縄フェミニズムと「慰安婦」の記憶が出会うとき」
佐喜真彩さん(大学非常勤講師、専門は戦後沖縄文学、フェミニズム研究)

〈概要〉
1980年代以降、沖縄で本格的に展開されてきた軍事化に抗するフェミニズム運動は、くり返される駐留米兵による性暴力を、軍隊による構造的暴力として告発し、基地のある各地のフェミニズム運動と連帯しつつ、沖縄の軍事化だけでなく世界の軍事主義そのものへの批判的実践を積み重ねてきました。
本発表では、この運動が「慰安婦」の記憶といかに出会い直してきたか、その軌跡を辿り、その試みが今日の反軍事主義の思想と実践にどのような深まりをもたらしているかを検討します。
〈プロフィール〉
佐喜真彩(さきま・あや)。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。主な論文に「「植民地戦争性精神病」に触れる――フランツ・ファノンの暴力論を目取真俊『眼の奥の森』とともに読み直す」(『思想』2025年1月)、「憑依される身体から感染する身体へ――目取真俊「群蝶の木」にみる戦後世代の戦争トラウマ」(『女性・戦争・人権』21号、2022年)。『生き延びたものたちの哀しみを抱いて――軍事化に抗う沖縄のフェミニズム文学』(勁草書房、近刊予定)。
◇「『遺された者』の歴史学:聞こえてきた声に振り向いたあとで」
戸邉秀明さん(東京経済大学教員、沖縄近現代史)

〈概要〉
今回のシンポジウムの対象書籍について、以下の3点を中心に言及する。①近現代日本の男性マジョリティ主体の分析にとって、インターセクショナリティの視点はどのような意味で重要なのか。➁体験者の減少を受けて、体験者の経験を聴き取った研究者等が、記憶の「媒介者」として果たす役割の重要性と、今後の可能性・課題をどのように考えるか。➂歴史意識の認知的レベルでの地滑り的変容に対して批判的に対峙するには、どのような視点が必要なのか。これらの検討に当たっては、随時、戦後沖縄の構想や思索を参照しながら進めていきたい。
〈プロフィール〉
早稲田大学大学院文学研究科中退(日本史学専攻)。現在、東京経済大学全学共通教育センター教授。沖縄の近現代史を専攻。特に、沖縄教職員会の動向を中心とした戦後沖縄の復帰運動史や、戦時中の「沖縄方言論争」について研究。近年の論文として、「沖縄と現代世界」(『岩波講座 世界歴史22 冷戦と脱植民地化Ⅰ』岩波書店、2023年)等がある。戦後日本の歴史学の思想と運動についても研究している。
◇パネルディスカッション
木原健太(会社員)

〈プロフィール〉
情報系の大学院を修了後、会社員として働きつつ、ふぇみ・ゼミU30を受講しています。
遠藤純一郎(ほうせんか100周年追悼式実行委員会「百年」メンバー)

〈プロフィール〉
2022年度ふぇみ・ゼミU30受講生。大学で現代美術を学んでアートプロジェクト等に関わってきて、ふぇみ・ゼミで社会運動のことを意識するようになりました。
性教育のカレンダー制作、追悼式やフィールドワークを通じた朝鮮人虐殺の記憶を伝える活動、「多様性」にまつわる講座の企画などをしながら、アート作品の制作や作曲などをしています。
高橋夏未(一橋大学大学院社会学研究科修士課程)

〈プロフィール〉
秋田県出身。戦争の記憶に関心を持ち、特に「群馬の森」朝鮮人労働者追悼碑撤去問題について調査・研究している。
ディスカッション進行:飯野由里子(ふぇみ・ゼミ&カフェ、フェミニズム研究)

〈プロフィール〉
ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター教員。専門はフェミニズム・ディスアビリティ研究。主な著書に『合理的配慮:対話を開く対話が拓く』(共著、有斐閣、2016年)、『「社会」を扱う新たなモード:「障害の社会モデル」の使い方』(共著、生活書院、2022年)など。
司会:梁・永山聡子(ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、成城大学グローカルセンター)

〈プロフィール〉
2011年頃より日本軍の性暴力解決運動に携わる。日本軍の性暴力が朝鮮半島・海南島・日本のジェンダー秩序やフェミニズム運動にどのような影響を与えたのかを調査・研究。この問題ではAJWRC、吉見裁判、希望のたね基金などで活動。韓国・女性家族部・日本軍「慰安婦」問題研究所で日本軍の公文書整理などに従事。現在はふぇみ・ゼミ&カフェ、大学で日本軍の性暴力及び解決運動を紹介している。
趣旨説明:熱田敬子(ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、ジェンダー/社会学研究者、山西省・明らかにする会事務局)

〈プロフィール〉
ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員、社会学・ジェンダー研究者。日中通訳翻訳。学生時代に日本軍性暴力被害者と出会い、中国・山西省や海南島などでフィールドワークを行ったことで、「主流派フェミニスト」になりかけていた自分を問い直す。山西省・明らかにする会通訳兼事務局メンバー。他に、人工妊娠中絶の経験者の聞き取りや、中華圏を主としたフェミニズム運動の調査も行う。
参加費
▽一回券
一般 1,980円
学生・2024年度ふぇみ・ゼミ寄付者(年間1万円以上) 1,650円
ふぇみ・ゼミU30生(2025年度) 1,100円
▽通し券(全9回)
一般 5,800円
寄付者・学生 4,800円
※ふぇみ・ゼミパスポート2025対象
※会場での当日お申込みも可
※1万円以上ご寄付いただくと、特典として一般社団法人ふぇみ・ゼミの開催する若者向け講座「ふぇみ・ゼミU30」の録画を視聴できます。この機会にぜひご検討ください。(詳細はこちら:寄付者への特典について)
開催方法
会場とオンライン配信(Zoom)を併用するハイブリッド形式
※リアルタイム日本語字幕あり ※後から配信あり
【会場】8月13日(水)、10月14日(火)ブックトーク
会場:ふぇみ・ゼミ&カフェ事務所
住所:東京都北区赤羽南2-4-7 鷹匠ハイツ403
アクセス:赤羽駅南口 徒歩8分
【会場】9月23日(火)シンポジウム
会場:北とぴあ 1601会議室(16階)
住所:東京都北区王子1丁目11-1
アクセス:東京メトロ南北線 王子駅 直結、京浜東北線 王子駅 徒歩 2分、都電荒川線 王子駅 徒歩 5分(詳細)
※ご希望の場合、会場参加の方は終了後の懇親会にご参加いただけます(有料)
※会場参加の方にも後日録画はお送りします。
お申込み締め切り
・リアルタイム配信の参加申し込みは、各イベントの開始1時間前までです。1時間前までにご購入いただいた方に、Zoomアドレス・IDをお送りします。大変申し訳ございませんが、それ以降の申し込みの場合、後日配信される動画での視聴となり、Zoomアドレス・IDをお送できません。ご了承ください。
・本シンポジウムでは、期間限定の「後から配信」をご用意しております。お申し込みいただいた方には、講座の映像をメールにてお送りいたします。配信の公開保証期間は、配信開始後2週間です。
・お友達や同居の方とご一緒にご覧になる場合でも、お一人一枚のチケットをご購入いただきますようお願いいたします。
受講ルールについて
・会場参加の方は、当日受付でお名前をお伝えください。
・zoomのURLは開始1時間前をめどにお申込のメールアドレス宛にお送りいたします。
・zoomで参加する際、表示名は必ずお申込み時にご登録いただいた名前でご参加ください。本人確認ができない場合、入室許可ができませんのでご協力をお願いいたします。
・(原則として)可能な方はzoomでのカメラオンをお願いしております。
・配布資料や後から配信の無断転載は厳禁です。参加者の方で画面のキャプチャー、録画・録音もご遠慮ください。
・お友達、同居の方などと一緒にご覧になる際も、お1人1枚のチケットをご購入いただくようお願いします。
・Zoomのサポートはいたしません。ご自身で各サイトなどをご覧ください。
・ふぇみ・ゼミは学びの場です。事前の連絡なく、調査研究・取材を主目的として参加することは禁止です。これらの目的で参加を希望される方は、事前にふぇみ・ゼミのメールアドレス(femizemi2017@gmail.com)までご連絡ください。
録画配信について・資料共有について
<録画配信>
・録画配信を行います。
・講座の中でグループディスカッション等があった場合、その部分は録画には含まれません。ご了承ください。
・後から配信(録画配信)の無断転載は厳禁です。
・公開保証期間は録画をお送りしてから2週間です。
<配布資料>
・無断転載は厳禁です。
・講師の意向にもより必ず資料を提供するとは限りませんが、基本はクラウドドライブのURLを共有します。
・会場に参加される方への資料印刷は、環境問題を考えて原則は致しません。必要な方は、可能な限りご自身で印刷または資料を見られるデバイスをお持ちください。なお、資料印刷が必要な方は事前にfemizemi2017@gmail.comにメールをいただければ対応しますが、直前の対応は必ずしもできませんので、ご了承ください。
ふぇみ・ゼミパスポートについて
・本イベントはふぇみ・ゼミパスポートの対象です。
※ふぇみ・ゼミU30参加者年間パスポート(一般20代以下¥37,000,学生¥22,000)、寄付者パスポート(5万円以上寄付)をお持ちの方は無料でご参加いただけます。寄付者の方にはパスポート以外にも様々な特典がございます。これを機にご寄付/パスポートのご利用をご検討ください。
リアルタイム日本語字幕(UDトーク;校正あり)について
・ふぇみ・ゼミ&カフェでは、すべての講座で校正者付きのUDトークを用いたリアルタイム日本語字幕を提供しております。